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技術者コラム【キズミの中の世界】Vol.6 電池交換したのにすぐ止まる?原因と対処法を徹底解説【オメガ】

1. 「電池を入れたばかりなのに…」その症状、故障ではありません!

「電池を新品に交換したばかりなのに、数日〜数ヶ月でまた止まってしまう…」

こうして当店にご依頼いただくオメガのクォーツ式時計(シーマスターやコンステレーション、デ・ヴィル等)では、ほとんどの場合、消費電流という針を動かすのに流れる電気の量が大きくなっています。

「電池の不良かな?」「壊れたのかな?」とご不安になるかもしれませんが、実はこれ、時計内部の潤滑油の劣化が原因であることがほとんどです。


2. クォーツ時計も止まる?その主な原因

「クォーツ=電池で動くから機械のお手入れは不要」と思われがちですが、クォーツ時計の中にも針を動かすための歯車(機械部分)が存在します。

↑オメガ シーマスターに搭載されているムーブメントCal.(キャリバー)1538
↑針と文字盤を外したところです。機械式ほど点数は多くありませんが、電子パーツと歯車類で構成されています。各所に注油する必要があります

電池交換してもすぐ止まってしまう原因は


3. クォーツ時計にもオーバーホールが必要なの?

結論から申し上げるとクォーツ式時計も定期的にオーバーホールが必要です。機械式時計(自動巻き・手巻き)は3〜5年でのオーバーホールが推奨されますが、クォーツ式時計の目安はだいたい8年に1回程度とされております。機械式時計よりも長いのは、クォーツ式時計はごく弱い力で稼働しており、歯車の回転数やパーツにかかる負荷が小さく摩耗の進行速度も遅いためです。

当店では年数もしくは電池交換後1年以内に止まってしまうようであればオーバーホールをご検討ください、とお伝えしております。

↑当店でオーバーホールさせていただいたシーマスター。オーバーホールを行うと電池寿命は新品時に近い状態に戻ります
↑液漏れを起こしてしまったムーブメント。電子回路も故障しておりました

4. 技術者だからこそ知っている意外な盲点

オメガのクォーツ式時計に日々接して感じるのは、ブレス(金属バンド)の不具合が多いことです。ピン&チューブ方式が多いのですが、そのピンを横から細い棒等で押すと簡単に抜けてしまうことがあります。この状態だと突然ブレスが外れて時計の落下につながります。

↑ピンとチューブそれぞれの溝が合わさることで固定されておりますが、経年によって摩耗で緩んで抜けやすくなります

また、留め具(クラスプ)が下記の画像のような方式の場合はネジの接着が緩んでいることも。こちらも外れると落下につながります。他にもクラスプバネが劣化して留めが緩くなったりすることも。

↑クラスプネジの接着が緩んで欠損している様子。幸い落下する前に気づいたそうで大事には至りませんでした

クォーツ式時計の場合は機械式時計よりもメンテナンス間隔が長く、10年以上ノーメンテナンスの個体も多いです。そのため内部機械は大丈夫でも外装の劣化が進行してしまうのです。できれば半年に1度は洗浄していただければベストです。時計本体は水につけずバンドのみ振り洗いするだけでも汚れが取れますのでぜひお試しください(ぬるま湯に中性洗剤を1-2滴たらして洗浄するとより効果的です。その場合は洗剤が残らないようご注意ください)。

それから使用している電池の種類にもご注意いただきたいです。安価な海外製の電池は経験上液漏れしやすいです。国産各社は漏液を防ぐ特許を取っており、100%ではありませんが間違いなく漏液しにくいです。愛用している時計にこそ国産電池を入れてほしいなと思います。

クォーツ式時計は精度がよく使い勝手も非常にいいですが、その分放置しがちになってしまうのもまた事実かと思います。末永くご愛用いただくためにも時には気にかけていただければ幸いです。



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